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PHASE 8 「闇への触手」
「あなたも見たでしょう?アルダリスシステムの支配下では、空間さえも転移することができる。これは現実なのよ」
有紀は扉の外に見える広場の風景を改めて眺めながら翔にそう言った。
「これはわたしが知る限りの情報だけど、アルダリスシステムは単にネットゲームをリアル化させるために開発されたものじゃないのよ。開発には内閣府の特別機関が関わっていたという噂だわ」
「国家機密ってことですか?」
「ええ。たぶんそこの所と、今回の事故は何かしら関係があるんじゃないかって思うの」
「じゃあ有紀さんは、あれは単なる地震とかじゃなく、人為的なものだったって言うんですか?」
「その可能性は否定できないってことよ」
有紀はそう言うと立ち上がり、手のひらを開いてその上にあるものをじっと見つめていた。翔の位置からは、有紀の手のひらの上に何があるのかは見えなかったが、有紀の顔には悲しげな表情が浮かんでいた。
「何が真実なのかを知るには、アルダリスシステムで何が起こっているのかを調べるのが一番手っ取り早いわ」
有紀は顔を上げると、決意を露わにするような眼差しで翔を見つめそう言った。
「でも、どうやってアルダリスシステムに侵入するんですか?アルダリスシステムに直結する端末がないと・・・」
翔はそう尋ねた。
「話は聞いた!わたしに任せなさい!」
突然、そう叫びながらリンドウが入ってきた。翔と有紀は呆気にとられて、自信満々の笑顔で立つリンドウを見つめていた。
「わたしもアルダリスシステムには興味がある。いち開発者としてね」
リンドウは翔の方に手を置いて、訴えかけるような眼差しでそう言った。
「でも、リンドウさん?任せろって・・・何か良い案があるんですか?」
翔がそう尋ねると、リンドウは勝ち誇ったような笑みを浮かべ、ポケットの中から小さなタブレットPCを取り出した。
「コイツがある。わたしが自作した自慢のタブレットPCだよ。サーバー並みのスペックがある。ハッキングなんてお手のもんだ」
リンドウは自慢げな顔で翔にそう言った。
「どうやって持ち込んだんですか!?」
翔は呆れた顔でリンドウの顔を見上げた。
「企業秘密だよ」
リンドウは悪戯っぽくそう答え、有紀の方に向き直った。
「問題はどうやってアルダリスシステムに接続するかだ。その通信方法が分からない以上、トランスミッターになる端末が必要になるな」
リンドウは打って変わって真剣な面持ちになり、有紀にそう言った。有紀も頷く。
「これを使えないかしら」
有紀はそう言ってグランドキーパーユニットを差し出した。
「これはアルダリスシステムに直接通信する機能を持ってると考えられるわ。うまくいけばアルダリスシステムに侵入できるかも」
リンドウは頷き、有紀からグランドキーパーユニットを受け取った。
「壊れてしまっても責任は持てないよ」
リンドウは確認するようにそう問いだたした。有紀は迷いなく頷いて見せた。
「良いんですか?!」
「いいのよ。わたしには必要のないものだわ」
翔の問いにも、有紀は凛とした口調でそう答えた。
「やってみよう」
リンドウはそう答えると、グランドキーパーユニットを分解し始めた。分解したグランドキーパーユニットの中の基盤が露わになると、リンドウはタブレットPCから出た配線をその中に接続した。タブレットPCの画面に、見慣れない幾何学的な映像が映し出される。
「電気信号を映像化したものだよ。これでデータのパターンがわかる」
リンドウはその映像を見ながら、キーボードを打ち続ける。するとその内、映像がパッと消え、代わりに規則的な文字の羅列が画面表示された。リンドウはさらに続けてキーボードを打ち続けていた。画面上には、リンドウが打つコマンドが表示されては消え、また表示されては消え、それを繰り返している。
「捉まえたぞ」
リンドウがそう呟いた。リンドウがあるコマンドを入力すると、流れるように文字が画面上に表示される。リンドウは、流れる画面を素早く目で追いながら、常にキーボードを叩き続けていた。
「どう?」
有紀が覗き込むように画面を見ながらそう尋ねた。
「ああ、たぶんこれがアルダリスシステムのマスタコードだ。むろん全部は無理だが、一部だけならデータを吸い取れるかも知れない。やってみよう」
リンドウはそう言い、キーボードを打つ手を早めた。リンドウの打つ文字と、流れ出る文字が目まぐるしく画面上で交差していた。
翔は、その画面をじっと見つめていると、何故か不思議な気分に包まれた。頭の中に、何かが流れ込んでくるような感覚だった。なんとなく、眠りに落ちるときの感覚に似ていた。
不意に視界に白いもやが立ち込める。吸い込まれていくような感覚に陥り、翔は思わず目を瞑った。
ゆっくりと目を開けると、目の前には何もなくなっていた。そう言うより、視覚というものが完全に失われていると言った方が正しいかも知れない。意識だけははっきりとしていたが、その他すべての五感が失われていく感覚を覚えた。しかし、そのうち少しずつ光が浮かび上がってくるのを感じた。そして、少しずつ目の前に朧気な景色が現れた。それはまたたく間に翔の思考を占領するかのように、翔の中で広がった。
今、翔の目の前には、見知らぬ男が立っていた。その男は、黒い聖職布を羽織り、冷めた視線でじっと翔を見つめていた。
「自由とは何だ?」
男は言った。
「お前は自由であることを恐れるのか?」
男はまた翔にそう言った。しかし、その表情はまったく変化を見せない。
「わたしが望むのは、完全なる自由。それだけだ。選択する自由。選択しない自由。守る自由。守らない自由。それは社会からの自由だ。他人からの自由だ。自分からの自由だ。それこそが心の自由だ。そう思わないか?」
男はそう翔に問う。しかし、翔は何も答えず、じっと男の目を見つめていた。
「見せてやろう。わたしの世界を。この腐敗した世界は、このわたしが統べてやる」
男はそう言うと、マントを揺らしながら後ろを向いて歩き去ろうとした。マントがなびいた瞬間、その下に光る黒い甲冑が見えた。
その瞬間、翔は気がついた。男の着ている聖職布は、間違いなくギドのものだった。
「違う!」
翔は思わず叫んでいた。男は、足を止めるとゆっくりと翔の方に向き直った。
「本当の自由は、そんなもんじゃない。そんな自由なら俺はいらない」
翔はそう答えた。
「・・・それもお前の自由だ。そしてそれを打ち砕くのも、わたしの自由だ!」
男はそう叫ぶと、唐突に翔目掛けて突進してきた。男が剣を抜く。翔も咄嗟に剣を抜き、振りかざされた剣を避けるように身を逸らし、突進してくる男に剣を振り下ろそうとした。
しかし一瞬、目の前に一人の女性が翔を守るように立ちはだかっている姿を見たような気がして、翔は振り下ろす剣を止めた。そして、次の瞬間、目の前の景色が一瞬にして掻き消えるのがわかった。
「やばい!アルダリスシステムに逆ハッキングされた!」
唐突にリンドウの叫ぶ声が翔の耳に響き渡った。気がつくと、目の前には慌ててキーボードを打ち続けるリンドウの姿があった。
「くそ!吸い取ったデータが破壊された!早い!間に合わない!」
リンドウはそう叫ぶと、グランドキーパーユニットに繋げていたケーブルを引きちぎった。それと同時にグランドキーパーユニットが音を立ててショートするのがわかった。裸の基盤から、うっすらと煙が上がっている。
「な!?ダメだ!直接侵入してきた!」
リンドウは、なおも画面を睨みながら必死にキーボードを打ち続けている。画面に大量の文字が流れ込んでくると、リンドウはそれを掻き消すようにキーボードを打ち続ける。
「く!限界か?」
リンドウがそう叫んだ瞬間、画面から一気に文字が消えた。リンドウも、せわしく動かしていた手をようやく止め、ため息をついた。
「どうなったんですか?」
有紀は疲れ果てたように壁にもたれ掛かるリンドウに尋ねた。
「わからないが、どうやら通信が途切れたみたいだ。PCは無事だったが、コピーしたデータは全部破壊された」
リンドウは身体を起こすと、今度はゆっくりとキーボードを打ち込みながら、有紀にそう答えた。
「そう・・・」
有紀は残念そうにそう呟く。
「カケル?ぼうっとしてどうしたんだ?」
リンドウがじっと画面を見つめる翔に気がついてそう声を掛けてきた。
「え?いや、なんでもないです」
翔はようやく我に返ると、そう答えた。しかし、脳裏には先ほどの風景が焼き付くように繰り返し映し出されていた。
あれはなんだったのだろう。単なる妄想だったのだろうか。しかし、それにしては妙にリアルな出来事だったと翔には思えた。
あの男は、恐らくナイジェルだったのだろう。翔には、確信に近い思いがあった。マントの隙間から見えた黒い甲冑と、あの漆喰の剣は、ナイジェルだけが持つ特別な武器だ。にわかには信じられなかったが、あれが本当のナイジェルの姿なのだろうと翔は思った。
彼はギドの聖職布を着ていた。それが何を意味するのか翔は考えたくなかった。
そして最後に現れた女性。明らかに彼女は翔を守ろうとしていたように思えた。彼女は誰だったのだろう。見たのはほんの一瞬だったが、その印象は翔の中に鮮明に残っていた。格好からすると、やはりオフライン・ゲームの参加者なのかも知れないと翔は思った。透明感のある黄色いドレスに、スカーフというのだろうか、身体全体を薄い透き通ったベールのような布で覆い、まるで宮殿の王妃のような姿をしていた。歳はきっと、20代後半くらいだっただろうか。幼い顔立ちだったが、やはり大人の貫禄のようなものを感じた気がしたのを、翔は覚えていた。
「諦めるのは早いみたいだぞ」
リンドウが画面にのめり込むように顔を近づけそう言った。
「最後の通信遮断の瞬間だけはある場所からのログが残されてる。恐らく、この端末がアルダリスシステムとの通信防壁を作動させたんだろう」
リンドウはそう言って、ログの情報を眺めている。そこに表示された数値をリンドウが素早く打ち込むと、再び画面に立体的な映像が浮かび上がってきた。
「これは通信状況から割り出した通信防壁を作り出した端末の現在位置だ。わたしの自慢のプログラムでね」
リンドウはそう言いながらPCを持ち上げ画面を有紀に見せた。
「これって・・・この街の中じゃない」
「ああ、しかも地下に位置している。この街の下に、地下施設が存在してるってことだな。少なくとも、この場所に何かあるってことだ」
「とりあえず無駄にはならなかったみたいね」
有紀は嬉しそうに笑みを浮かべてそう言った。
リンドウは、焦げ付いた有紀のグランドキーパーユニットを拾い上げると、有紀に差し出した。
「これはダメになっちまったな。すまない」
「いいのよ・・・それよりも、さっそくその場所に行ってみましょう」
有紀はそう言いながら立ち上がった。
「よし!善は急げだ!」
リンドウも元気よく立ち上がると、率先して歩き出し広場の方に出て行った。有紀と翔も、リンドウの後を追って広場に出た。
広場の中央では、数人の男が富野間の指示の元、彼の小屋の修復作業を行っていた。富野間の罵声が響くたびに、男たちは露骨な怒りの表情を浮かべながらも、黙々と作業をこなしていた。
広場の端の方では、女性たちがシーツなどを黙々と干している姿が見えた。誰もが黙ったまま、広場の隅に掛けられたロープに一つずつシーツを干していく。その隣で、黙々とシーツを干している女性たちとは対照的に、数人の男女が笑いながら話している。彼女たちを一向に手伝う気配も見せず、ただ彼女たちの作業する横にたむろして、井戸端会議を繰り広げているだけだった。
翔はそんな光景を横目に、複雑な思いで歩いていた。
「自由とは何だ?」
先ほどのナイジェルの言葉が頭をよぎる。
翔はあのとき違うと答えたが、何が違うのかはっきりと分かっているわけではなかった。また、今この状況を見ても、社会の上に成り立つ自由とは何だろうと思えてしまう。自由とは、社会の上で時に不平等なものだ。誰かが自由を主張すれば、誰かが自由を失うことになる。結局、力の弱いものが自由を失っていくのだ。
翔はそんなことを考えている内によく分からなくなり、思わず彼らから目を背けた。そして、翔は考えるのを止めた。今は、考えなくて良い。答えが見つかる日は必ず来る。そう心の中で呟きながら、先を歩くリンドウだけを見て歩き続けた。
「カケルくん」
不意に有紀がそう声を掛けてきた。翔は思わずビクッと身体が飛び上がるのが分かった。自分は罪の意識を感じているのだ。分かっていたが、あえてそれを気付かないふりをしていただけだった。
「大丈夫?なんか気分でも悪いの?」
「いや、何でもないです・・・」
翔は小さな声で答えた。
「そうだ、有紀さん・・・」
翔は思い出したように有紀にそう声を掛けると、一瞬間をおいた後、意を決して腰に下げていた袋からあるものを取り出して、有紀に差し出した。
「これ・・・佐伯さんのグランドキーパーユニットです。さっき壊れちゃったから、代わりにこれを使ってください」
有紀は驚いたように翔の顔を見つめていた。無理もないだろうと、翔は思った。佐伯が持っているべきものを、自分が持っているのは明らかにおかしい。いや、佐伯が持っているべきものを持っていないという事実の方が今は重要だったかも知れない。
「実は佐伯さん・・・」
こういうときになると、まるで口は鉛のように重くなる。翔は力を振り絞ってなんとか続きを言おうとした。しかし、なかなか言葉が続かなかった。
「知ってるわ」
翔の言葉を待たずに、有紀はそう答えた。
「それはあなたが持っていて。さっきも言ったように、わたしには必要のないものだわ」
「有紀さん・・・」
「わたしたちのすべきことは別にある。だから、わたしはここにいる。これは彼の意志でもあるの。そして、わたしの彼にしてあげられる最後の弔いでもあるわ」
有紀はまっすぐ前を見つめたまま、そう翔に答えた。
「場所的にはこの真下辺りだろう」
リンドウがそう言って、街外れの小屋の前で足を止めた。屋根は小枝を集めたものを縛り上げて作っただけの、いかにも古びれた目立たない小屋だった。
リンドウは小屋を見上げると、扉に近づきゆっくりと開けた。
中には、とりたてて何もなかった。部屋の中央に無造作にいくつか木箱が積まれておかれているだけだった。三人は、中にはいると注意深く部屋の中を眺めた。
「簡単なトリックだな」
リンドウがそう言うと、二人に天井を見るように指を立てて見せた。しかし、翔が見る限り天井には何等変わったことは内容に見えた。
「3D映像の簡単なトリックさ」
リンドウはそう言い、持っていた布を棒の先につるし、天井の一部に引っかけた。すると、目の前にあった木箱が消え、地下に続くと思われる扉が姿を現した。
「な?」
リンドウはそう言うと、床の扉をゆっくりと開けた。扉の下には、どうやら階段が続いているようだった。
「入ってみましょう」
有紀が率先して階段を下り始めた。リンドウと翔も続いて、階段を下りた。
1階分ほど階段を下りると、すぐに通路になっていた。通路には、足元を照らすように最小限の照明が備え付けられていた。近代的な作りの壁になっているところを見ると、オフライン・ゲームでのダンジョンとして作られたものではなく、あくまで管理施設として作られたことが分かる。
リンドウは通路を少し進んだ先にある、ある部屋の扉の前で止まった。
「ここだ」
リンドウはそう言って、有紀と翔を呼んだ。
扉の前に立ち、三人は顔を見合わせた。必然的に、ドアノブに一番近くに位置していた翔が頷き扉を開けた。翔は薄暗い室内にゆっくりと入り、部屋の中を見渡した。部屋の中には照明がなく、翔は目を凝らすように部屋の中を眺めた。
特にPCらしき端末もなければ、それらしき機器類もなかった。壁の一部が黒く見えるが、機械らしき物はやはり見えない。翔は、ゆっくりと部屋の中央まで歩み寄ったとき、パッと天井に明かりが点った。翔は驚いて、思わず後ろを振り向いた。
「ここにスイッチがあったわ」
有紀さんはそう言って部屋の中に入ってきた。
翔は胸をなで下ろすと、改めて明るくなった部屋の中を見渡してみた。当初思ったよりかなり広い部屋だった。その広さは、20メートル四方ほどだろうか。規則正しく机らしき台が並んでいるが、その上には何も置かれていない。
先ほど黒く見えた壁は、どうやら鏡のようだった。それも、かなり巨大なものだった。部屋全体が、目の前の鏡に映し出されていた。そのせいで、余計部屋が広く見える。
「何のための施設かしら」
有紀が翔に歩み寄ってきてそう呟いた。しかし、翔にも皆目見当が付かなかった。
「あった!」
部屋の隅の方でそう叫ぶリンドウの声が聞こえた。翔と有紀がリンドウの方を向いて彼を見ていると、パッと部屋が微妙に明るくなったように見えた。
リンドウが急いで翔と有紀の元に駆け寄ってくる。
「見てみろ」
リンドウはそう言って壁を指さした。翔と有紀はリンドウに従い、振り返って壁を見た。
鏡と思っていたのは、ただのガラスだった。その中には、巨大な装置が物静かにあちらこちらを点滅させている姿が突然現れていた。
「通信防壁がここで発生したのは間違いなさそうだな・・・」
リンドウは巨大な装置を見ながらそう言った。
翔は何かの気配を感じて、部屋の方に向き直った。しかし、さきほどと同じように、机だけが規則的に並んでいるだけだった。翔はなぜか胸騒ぎを覚え、部屋の中を奥に向かってゆっくりと歩き始めた。
整然と並んだ机の間に椅子らしきものがないところ見ると、これらは机ではないのかも知れないと翔は思った。ならば、こんな数多くの台を、いったい何に使うのだろうか?翔には不思議に思えた。
中程まで進んだとき、翔は不意に視界に変化を感じて立ち止まった。そして横見ると、そこには人が一人倒れているのがはっきりと見えた。
「人が倒れてます!」
翔は思わず叫んで、倒れた人物に駆け寄った。どうやら、女性らしい。机の隙間から、長い髪が見えた。
翔はそばまで駆け寄ると、思わずその一歩手前で立ち止まった。彼女は黄色いドレスをまとい、身体全体を薄いベールに包まれていた。間違いなく、あの女性だった。幻想の中、ナイジェルと対峙したとき、盾となってくれたあの女性だ。
翔は一瞬とまどったが、すぐに気を取り直して彼女に近づき身体を抱き上げた。口に耳を近づけると、微かに呼吸をしている音が聞こえた。どうやら生きているらしいことに、翔はほっとしていた。
「どうしたの?」
有紀がすぐさま駆け寄って来た。翔が抱える女性を見ると、急いで近づき彼女の腕をとって脈を確認した。
「大丈夫。脈はあるみたい。でも、なんでこんなところに・・・」
リンドウも有紀に続いて駆け寄ってきた。リンドウは一瞬驚きの顔を見せたが、有紀の言葉を聞いて安心したのか、女性の顔を覗き込むようにして見ていた。
「気絶してるだけみたいだね・・・とりあえず彼女を街に連れて行こう」
翔はそう言い、彼女を抱きかかえながら立ち上がった。
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